「本を読みなさい!」
読解力を伸ばすためによく言われる言葉です
実際にはただ読めば良いという問題でもないし、イヤイヤでも多く読めば読解力が上がるかというと、そんなこともないんです
今回、ちょっと驚いた研究報告があったのでお知らせします
5年間で31カ国、25歳から65歳の16万人を対象にオーストラリア国立大学とアメリカのネバダ大学の研究者によって行われた調査結果です
「16歳の時に自宅に何冊本があったか?」
これに回答した対象者に
・読み書き能力
・数学
・情報通信技術(ICT)
のテストを受けてもらいました
結果から分かったこと
・自宅に本がほぼ無い場合→読み書き、数学が平均以下
・自宅にあった本の数とテストの結果は比例する
・自宅に本が80冊ほどある場合→平均程度
・ただし、350冊以上になると冊数とテスト結果は大きな関連がなくなる
さらに分かったことは、最終学歴が「日本の中卒程度(13歳から14歳)」でも多くの本に囲まれて育った子は、「大卒」でも本がほぼない家庭で育った子と読み書き、数学、ICT能力がほぼ同じだったということ。
「あの子は大学出ているのにこんなことも分からないの?」
「あの子は中卒(高卒)だけど、色々なことを知っていて賢いよね!」
こういう事が言われるのも当然の結果なのでしょう
また、自宅に本があると「読み書き能力」が高くなるのは関連がありそうだけど、数学やICTなど他の能力についても高くなることは予想外だったと言っています
ただ、これは教育に関わっている人はわかると思うんですが、読み書き能力が高い人は、低い人より同じ学習時間でも他教科についても容易に能力を高める事ができます
そして、この中で指摘しているのが「本を読めなければ効果がない」という話でもなく「本を読むという行為自体が能力を伸ばす」という単純なことではない。
大事なことは「子供たちが、親や他の人たちが本に囲まれている様子を目にすること」だとしています
どういうことでしょう?
私なりに考えてみました
本が自宅に多くあるということは、保護者など家族の中に本を読む事が好きだという人がいるのでしょう。
その人の無心に本を読む姿を頻繁に眼にする。
テレビや出掛けた時に、本で読んだ知識を楽しそうに話す。
本を読むのが好きな人が複数の場合、共通の内容で盛り上がって楽しそうに話している。
そんな中で育った子は、やはり本を開くハードルが極端に低いんだと思います
熟読しなくても、図鑑などで興味のあることだけ眺めてみたり、添え絵や気になる1行の表現を読み返したり。
また、本当に本の世界に没頭してその内容に自分自身が入り込んでしまう。
そんな読み方になる子もいるでしょう。
本を「読めない」のと「読まない」のは大きく違います
本に接する機会さえない子は、その世界を知ることはありません
周りに本が溢れていれて、それに楽しそうに触れる人が周りにいる。
それがその子の成長に大きく影響するんでしょうね
さて、「スマホばかりいじってないで勉強しなさい!」と子供に言って、言った本人がスマホやゲームを片手にそういう言葉を言っている。または,テレビをずっとみて大声で笑っている。
そういった環境の方が問題ではないか?ということです